人の善悪が物語の主題である作品の中には、性善説と性悪説が語られるものがあります。

　人は生まれつき邪悪。それはよく性悪説と言われますが、実際は「人間の本性は欲望的だが、後天的な努力によって公共善をしり、礼儀正しくなれる」というのが本来の性悪説です。しかし、ここでは一般的にイメージが定着した誤用された性悪説について語ります。

　性悪説の反対である性善説ですが、これは「人間には先天的に善良の兆しがある」という内容で、一般的なイメージ通りです。

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　さて、この性善説。勧善懲悪の物語では「人間は生まれつき善良であり、邪悪な人間は環境が悪かったり、報われない不幸な体験をしたことで邪悪になったのだから、殺すことよりも罪を償うのを優先すべき」と積極的な殺生を好まない主人公が語ることがあります。１００％一致するわけではありませんが、トライガンのヴァッシュ・ザ・スタンピードや武装錬金の武藤カズキあたりが近いでしょうか？

　私は生まれつきの邪悪な人間というのは存在していると考えています。少なくとも死刑制度が必要な程度には。とはいえ、トライガンや武装錬金を否定するつもりはありません。この二作品は実に気持ちよく読める物語でオススメです

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　しかし、同時に生まれつき善良な聖人君主も存在すると考えています。そもそも、生まれつき善良な人間及び、生まれつき邪悪な人間は例外的に発生した人格であり、大多数の人間は善悪両方を持ち合わせていると考えています。

　人間の善良な部分と邪悪な部分は、特定の条件をみたすことで表に出てくるというのが私の善悪に対する解釈です。家族や友人に対しては守りたい、助けたいという善良な感情が働き、自分の考えとは異なる（もしくは対立する）人間や、明らかに損害をもたらす行動をする人間に対しては、殺したい、叩きのめしたいという感情が働きます。私自身も、家族や友人は幸福であって欲しいと思いますが、逆に私に敵意や害意を向ける� �間に対しては、当然それを実行することはまずありえませんが、徹底的に叩きのめしたいと暴力的な感情が湧いてきます。

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　人間にはだれもが善悪を呼び出すスイッチのようなものがあり、優しい母親も邪悪のスイッチが入ってしまえば、わが子の頭をなでるはずの手のひらを拳に変えて、それを振り下ろしてしまうのです。

　このように、突然変異的に例外な場合を除けば、人間は誰もが邪悪になる可能性を持っているという考えを持つ私ですが、かと言って日常的に自分以外の全ての人間を疑うのを絶対に推奨しませんし、私自身もそんな事はしません。人間は集団で生活する生き物ですから、そんな事してしまったらにっちもさっちも行きません。日常生活を送る上では、人間が邪悪になる可能性は基本的に忘れていたほうが良いです。

　ただし、いざ邪悪が現れて、「人は生まれつき善良なのだから罪を償うよう説得するべきだ」と空想的な性善説を主張して、邪悪を野放しにするべきではありません。軽い邪悪ならそれで良いのかもしれませんが、もしもその邪悪が生まれつきのものであるならば、性善説を主張している間に、大量の人間が不幸になるのですから。